
2026.8.8
雑記
今年の韓国はめちゃくちゃ暑い。昼間は40度近い気温で、夜になっても下がらない。できる限り家から出たくない…というなかで、8月6日、ソウルの「本屋コプセム(책방곱셈)」のブックトーク「日本に住む韓国人と韓国に住む日本人」に参加してきました。私はトークする方なのでもちろん行くんですが、聴きに来る皆さんには暑すぎて申し訳ない気持ちでいっぱい。申し込みは満席と聞いていましたが、暑くて断念する人も多いだろうなと予想していました。が、大方来てくださったようです。ほんとにありがとうございます!
トークのお相手は、『日本で国文学を教えています(일본에서 국문학을 가르칩니다)』の著者、高榮蘭(コ・ヨンラン)先生。「日本に住む韓国人」です。というより、コ・ヨンラン先生のブックトークに「韓国に住む日本人」の私も一緒に登壇することになりました。
KBSワールドラジオ「カルチャーラボK」で『日本で国文学を教えています』を紹介したことがきっかけとなりました。本を紹介するからといって著者にインタビューすることはあまりないのですが、私の正反対の立場のコ・ヨンラン先生に話を聞いたらおもしろそうだと直感的に思い、申し込みました。オンラインで1時間ほどインタビューしたのですが、話が尽きず、「続きは会って話しましょう!」と言い合って惜しみながら終えたというのを『日本で国文学を教えています』の出版社チョンウン文庫(정은문고)のイ・ジョンファ代表が知り、「成川さんもブックトークに参加しませんか?」と誘ってくださったのです。
昨年『至極私的な日本(지극히 사적인 일본)』という本を韓国で出して以来、この本関連のブックトークや講演をたぶん20回くらいやったと思うんですが、自分一人だとどうしてもマンネリ化しがちなところ、対談となると、思ってもみなかった方向に話が膨らんだりして、私自身も楽しめました。
まずコ・ヨンラン先生から『日本で国文学を教えています』の紹介。先生は日本大学で国文学を教えているんですが、この国文学は韓国文学でなく、日本文学。先生は在日の方でもなく、韓国出身の韓国人。すごいですよね。私も昨年から韓国の大学(東国大学)で講義を担当していますが、日本映画や日本の大衆文化の授業です。韓国の学生を相手に韓国映画や韓国の大衆文化の授業をすることを想像すると、とてもできないなと思います。

私のよく知らない最近の日本の学生についての話が印象的でした。最近の学生は、国文学専攻でも、日本の文豪についてよく知らず、『文豪ストレイドッグス』という漫画に登場するキャラクターとして誤った情報やイメージを持っている学生もいるという話。そういえば昨年、日本の出版関連のグッズについて韓国で語る機会があって、調べていたら太宰治や谷崎潤一郎、宮沢賢治ら文豪のグッズがやたらいっぱい出てきて、それが『文豪ストレイドッグス』のキャラクターグッズだというのを知りました。
逆にK-POPや韓国コスメなどは先生がついていけないほど詳しいという話も。
私も韓国の大学生を相手に授業をしていると、日本の漫画やアニメ、J-POPは学生の方が詳しいことが多々あります。
「そうそう」と共感すること、日韓でこんなにも違うんだと驚くこと、この日も話が尽きず、「またやりましょう」と言って解散しました(笑)
『日本で国文学を教えています』は日本語版も出るかもしれない、と聞いています。ぜひ、日本の皆さんにも読んでほしいです。

トークが終わって、参加者にもらった韓国のりのブックマーク。すごいリアルで受ける。これ日本でも売ったらいいのに。

2026.7.3
地方旅
土肥の講演は午後だったので、その前に「山仙」から徒歩圏内の「テラッセ・オレンジ・トイ」と、土肥金山へ。
「テラッセ・オレンジ・トイ」というのは2024年にオープンした全国初の津波避難複合施設で、災害時には1200人の避難スペースとなるのだそう。お土産物屋さん、レストラン、カフェなどが入っていて、本当はここでランチの予定だったんですが、「山仙」の朝ご飯が想定外に多かったので、ランチはパス。海の眺めを堪能しました。この日朝までザアザア降ってましたが、お昼近くにはカラッと晴れて、いい眺め! 土肥は夕日の名所だそうなので、日暮れ時に行くのがオススメ。

土肥金山は2025年にテーマパークとしてリニューアルされたばかりで、初めて行ったので違いはよく分かりませんが、坑道内に新たに「50本の黄金の鳥居」が設置されたそう。坑道を歩いて金山の歴史を学べるようになっていました。
簡単に説明をまとめると、土肥金山の歴史は今からおよそ600年以上前の室町時代に始まり、江戸時代に徳川幕府直轄の金山として本格的に整備されたそうです。ということで、土肥金山の金が江戸の経済を支える重要な資源となって、土肥の街も繁栄した模様。1965年に閉山しましたが、佐渡金山に次ぐ生産量を誇り、本州最大級の金山だったとか。

あっちゃんによると、以前は250㎏の巨大金塊が展示されていて、その金塊を触れるのが一つの売りだったんだけど、金の価格高騰と共に管理コストが負担となって展示を終了しちゃったみたい。2005年の展示開始の時は約4億円の価値だったのが、最高約44億円まで跳ね上がったそうです。
坑道から出て、お決まりの?金箔ソフトクリームもいただきました。金沢も有名ですよね。金箔が口につくのがおもしろくて、写真と動画を撮って無邪気に遊んで、講演会場へ。

土肥を堪能したところで、お仕事、お仕事。講演のために来たんでした。会場に1時間前に着いたんですが、なんとすでに十数人来ていて、「ボランティア」の方々とのこと。実は全部で20人も来ないと思っていたので、ちょっとびっくり。そしたらどんどん増えてきて、最終的には80人くらいに。皆さんお知り合いのようでワイワイ楽しそう。始まる前から記念撮影したり、大きなお花をもらったり、控室があったり、「山仙」もそうでしたが、おもてなしっぷりがすごすぎて、圧倒されました。韓国ドラマのパワーなのか、この地域の人たちのお人柄なのか…。
講演タイトルは「ドラマでわかる韓国社会-歴史ドラマから現代ドラマまで、韓国の今を読み解く」。実は『現地発 韓国映画・ドラマのなぜ?』には歴史ドラマの話はあまり書いてなかったんですが、提案されたタイトルのすべてが歴史ドラマにまつわるもので、ああ、歴史ドラマがお好きなんだなと思って準備しました。
地元紙の伊豆日日新聞も取材に来てくれて、なぜか従姉にも取材してました。どういう経緯で実現したのか、と(笑)ちゃんと掲載紙も送ってくれました。
前日、あっちゃんと話していて、去年放送された韓国ドラマ「交渉の技術」で静岡ががっつり出てきた話をしたら、全然知らないとのことで、急きょ講演資料に追加しました。明らかに静岡のPRのような感じで富士山とか修善寺とか出てきたので静岡の人はさぞかし喜んで見ただろうなと思ってたら、会場で見た人を聞くと、一人も手があがらず(笑)「交渉の技術」、私けっこうはまって見てたんだけどな。
楽しく講演を終えて、帰る時、エレベーターが閉まる直前に誰かが「ソ・ジソプに会ったらよろしく!」と叫んでました(笑)ちょうどソ・ジソプ主演ドラマ「キム部長」始まりましたよね。
土肥の関係者の皆様、大変お世話になりました! 大抵の講演は韓国文化院とか大学とか、ちゃんと予算のある主催者なんですが、今回は地域の方々が有志で開いてくれて、温かいおもてなしにこちらが癒されっぱなしでした。韓国ドラマがこんなふうに人と人をつないでくれるんだと、感無量の旅でした。

2026.7.1
地方旅
6月、伊豆半島の西の方、土肥という所へ行ってきました。読み方は「とい」です。
目的は講演と温泉と美味しい海の幸でした。従姉の友達のあっちゃんが土肥の出身で、私が2023年に出した本『現地発 韓国映画・ドラマのなぜ?』(筑摩書房)を読んでくださった地元の方から韓国ドラマについての講演の打診を受けたけど来られるかと、あっちゃんから連絡をもらい、「喜んで!」と受けたのですが、あっちゃんが「ほんとに??」とびっくりしたのでびっくりしました。
あっちゃんがびっくりしたのは、「遠い」から。私は基本的に韓国に住んでいて、たまに東京に戻るけど、土肥は東京からもけっこう遠いとのこと。韓国映画・ドラマの講演で日本へ行くことはちょくちょくあって、東京、大阪、名古屋、福岡、奈良、神戸…などなどけっこう各地を訪ねているので、静岡も私としては「東京の隣」くらいの感覚でした。
何より、温泉があって、海の幸も美味しいと聞いて、半分旅行気分でした。そして行く前に調べると、土肥は金山も有名だということが分かり、土肥金山へも足を延ばしました。
泊まったのは、温泉民宿「山仙」。あっちゃんの実家です(笑)。従姉の友達というと、普通はそんなに近い関係じゃないと思われそうですが、大阪で何度か一緒にご飯に行っただけでなく、韓国の済州島にも一緒に旅行に行った仲です。
講演に合わせて普段は大阪に住んでいるあっちゃんも従姉も伯父も来てくれて、週末だったので東京の夫も合流。東京から新幹線で三島へ。そこからレンタカーで土肥へ。レンタカーに乗ってナビを入力して初めて、あっちゃんの言っていた「遠い」の意味が分かりました。三島から1時間半もかかる、と。なるほどなるほど。
宿に着いたらもう夕暮れ時だったので、ちょっと休んで、宿のお部屋で晩ご飯。お刺身、エビフライ、煮魚、鍋、茶わん蒸し、グラタン…おもしろいほどいっぱい運ばれてきて、極めつけは伊勢海老のお刺身! でっかいのが一人一匹ずつ出てきて、目を丸くしていたら、「これは彩が来たので特別」とのことでした。そりゃそうだ。とはいえ、「山仙」は美味しい料理が食べきれないほどいっぱい出てくることで知られています。

お酒は何がいいと聞かれて「日本酒!」と言ったら、地酒をいろいろ準備してくれて、飲みきれなかったので残りはありがたく持ち帰ってきました。
もうもう、大満足。おなかパンパンになって、あとはお風呂に入って寝るのみ。
お風呂は一人で入れるお風呂が三つ(?)あって、露天風呂もあったけども、私は富士山の絵があるお風呂に。もちろんお湯はミネラルたっぷりの土肥温泉のお湯。気持ち良かった! さらっとしたお湯でしたが、翌朝起きたら肌がすべすべになっていて「美肌の湯」と呼ばれるのも納得。土肥温泉は江戸時代の金山開発中に発見されたんだそうです。
ちなみに朝ご飯も大量に出てきて、約1時間かかって平らげました。